現代のビジネス環境において、ウェブサイトは単なる情報提供の場から、直接的なビジネス成果を生み出す重要なツールへと進化しています。しかし、ただウェブサイトを運営するだけでは、その真の価値を引き出すことはできません。鍵となるのが「コンバージョン目標の設定」です。正確な目標設定とデータ分析により、ビジネスの成果を見える化し、効果的な戦略を立案することが可能になります。今回は、Googleアナリティクスを活用したコンバージョン目標の設定方法と、その重要性について詳しく解説します。
目次
コンバージョンとは何か
ウェブ解析の世界は日々進化しています。Googleアナリティクスもその例外ではなく、従来のユニバーサルアナリティクス(UA)から最新のGoogleアナリティクス4(GA4)へと大きく変貌を遂げました。この変化に伴い、コンバージョンの計測方法も大きく変わりました。本記事では、過去のコンバージョン計測と現在のイベント計測の違いについて詳しく解説します。
Googleアナリティクスの進化
ユニバーサルアナリティクス(UA)におけるコンバージョン
UAでは、コンバージョンは「目標(ゴール)」として設定されていました。目標設定により、ユーザーが特定のページに到達したり、一定の行動を取ったりした場合にコンバージョンとして計測されます。目標の種類は以下の通りです。
- 目的地:特定のURLに到達したとき
- 滞在時間:サイト滞在時間が一定以上になったとき
- ページビュー数:閲覧ページ数が一定数を超えたとき
- イベント:特定のイベントが発生したとき
Googleアナリティクス4(GA4)におけるイベント計測
GA4では、データ収集のモデルが一新され、すべてのユーザー行動が「イベント」として計測されます。つまり、ページビューもクリックもスクロールも、すべてがイベントです。この統一されたイベントモデルにより、より柔軟で詳細なデータ分析が可能になりました。
コンバージョンとイベントの違い
UAのコンバージョン設定
UAでは、コンバージョンは「目標」として設定し、最大で20個まで設定可能でした。目標設定はビュー単位で行われ、目標ごとにタイプを選択し、条件を指定します。
- 目標の制限:最大20個まで
- 目標タイプの固定:目的地、滞在時間、ページビュー数、イベント
GA4のイベント計測とコンバージョン設定
GA4では、コンバージョンは特定のイベントを「コンバージョンイベント」としてマークすることで設定します。つまり、任意のイベントをコンバージョンとして扱うことができます。
- イベント数の制限なし:イベント自体は無制限に作成可能
- コンバージョンイベントの上限:最大30個まで
- 柔軟な設定:カスタムイベントを自由に作成し、コンバージョンとして設定可能
データ収集モデルの変更
ヒットベースからイベントベースへ
UAでは、データ収集は「ヒットタイプ」に基づいていました。ページビュー、イベント、eコマースなど、異なるヒットタイプが存在し、それぞれが別個に計測されていました。一方、GA4では、すべてが「イベント」として統一されています。
- UAのヒットタイプ:多様なヒットが存在
- GA4のイベントモデル:すべてのデータがイベントとして扱われる
この変更により、データ構造がシンプルになり、クロスプラットフォームでのデータ統合や詳細なユーザー行動の追跡が容易になりました。
コンバージョンの種類
コンバージョンとは、ウェブサイト上でユーザーに達成してもらいたい特定のアクションのことです。ビジネスの目的や業種によって、その内容はさまざまです。
- 商品購入
オンラインショップでの商品購入 - お問い合わせ
問い合わせフォームの送信 - 会員登録
ユーザーアカウントの新規作成 - 資料ダウンロード
ホワイトペーパーやカタログのダウンロード - メールマガジン登録
メルマガへの登録
ビジネスにおけるコンバージョンの重要性
コンバージョンは、直接的なビジネス成果を示す指標です。アクセス数やページビューだけでは、ユーザーがビジネスにどの程度貢献しているかを正確に把握できません。コンバージョンを計測・分析することで、マーケティング施策の効果やウェブサイトの改善点を明確にし、効率的な戦略立案が可能となります。
コンバージョン目標の設定方法
目標設定の手順
- ビジネス目標の明確化
まずは、ビジネスとして達成したい大枠の目標を定めます(例:売上の増加、リードの獲得など)。 - 具体的なコンバージョンの定義
ユーザーにどのようなアクションを取ってほしいかを具体的に決めます。 - KPI(重要業績評価指標)の設定
コンバージョン率や目標達成数など、進捗を測るための指標を設定します。
目標タイプの選択
コンバージョン目標は、以下のようなタイプから選択します。
- 目的地
特定のURLにユーザーが到達したとき(例:購入完了ページ)
- イベント
ボタンのクリックや動画の再生など、特定のアクションが起きたとき
- 継続時間
ユーザーの滞在時間が一定時間を超えたとき
- ページビュー数
一回の訪問で閲覧したページ数が一定数を超えたとき
ビジネスの目的に最も適した目標タイプを選ぶことが重要です。
Googleアナリティクスでのイベント設定
目標の具体的な設定手順
Googleアナリティクスを活用することで、コンバージョン目標の設定とデータ分析が容易になります。以下に、その具体的な手順を詳しく説明します。
1. 設定にアクセス
Googleアナリティクスにログインし、画面左下の「管理(歯車アイコン)」をクリックします。
2. プロパティのイベント設定
「プロパティ」列で、目標を設定したいプロパティを選択し、「イベント」をクリックします。
3. イベントの作成
「イベントを作成」ボタンをクリックします。
4. 新しいイベントの定義
「作成」ボタンをクリックし、新しいイベントを定義します。
5. 条件の設定(page_location パラメータでURLを指定)
- イベント名:わかりやすい名前を付けます(例:cotact_complete)。
- 条件:以下のように設定します。
- パラメータ:
event_name
- 演算子:次と等しい
- 値:page_view
- パラメータ:
page_location
- 演算子:次を含む
- 値:コンバージョンとみなすページのURL(例:https://example.com/thank-you)
- パラメータ:
6. イベントの作成
設定内容を確認し、「作成」ボタンをクリックしてイベントを保存します。
スマート目標の活用
スマート目標は、機械学習を活用して自動的に最も価値の高いセッションをコンバージョンとして計測する機能です。
- メリット
複雑な設定を行わなくても、効果的なコンバージョン計測が可能。
- 注意点
Google広告と連携している必要があります。
一定のセッション数が必要(過去30日間で500セッション以上)。
設定方法
- 目標タイプで「スマート目標」を選択します。
- 画面の指示に従って設定を完了します。
コンバージョン率の計算と分析
コンバージョン率の計算方法
コンバージョン率は、サイト訪問者のうち、どれだけの割合がコンバージョンに至ったかを示す指標です。
- 計算式
コンバージョンファネルの活用
ファネル分析で離脱ポイントを特定
コンバージョンファネルとは、ユーザーがコンバージョンに至るまでの各ステップを可視化したものです。
- 設定方法
目標設定時に「目標のプロセス」で各ステップを定義します。
- 分析ポイント
各ステップでの離脱率を確認し、問題箇所を特定します。
改善策の立案と実施
離脱率の高いステップに対して、具体的な改善策を講じます。
- ページの最適化
コンテンツの充実やデザインの改善。
- ユーザビリティの向上
ナビゲーションの整理やフォームの簡素化。
- 技術的な問題の解消
ページ読み込み速度の改善やエラーの修正。
コンバージョン最適化のためのベストプラクティス
A/Bテストの活用
A/Bテストは、異なるバージョンのウェブページを比較し、どちらがより高いコンバージョン率を生み出すかを検証する方法です。
- テスト項目
ヘッドライン、ボタンの色・配置、画像、価格表示など。
- ツールの利用
Googleオプティマイズなどの無料ツールを活用。
ユーザーエクスペリエンスの向上
ユーザーの満足度を高めることで、コンバージョン率の向上につなげます。
- レスポンシブデザイン
モバイルデバイスでも快適に閲覧できるようにします。
- 明確なコールトゥアクション(CTA)
ユーザーに次のアクションを促す明確な指示を提供。
- 信頼性の確保
セキュリティバッジや顧客の声を掲載して信頼感を高めます。
よくある課題と解決策
目標設定の誤りを防ぐ方法
- 設定前の確認
目標URLやイベント条件が正確か再確認します。
- テスト実施
設定後に自らテストし、正しく計測されているか確認。
継続的なモニタリングの重要性
- 定期的なデータチェック
コンバージョン率や離脱率の変動を常に監視します。
- 市場動向の把握
トレンドや競合他社の動きをチェックし、戦略に反映。
まとめ
コンバージョン目標の正確な設定とデータ分析は、ビジネス成果を最大化するための不可欠な要素です。Googleアナリティクスを活用することで、ユーザーの行動を詳細に把握し、的確な改善策を講じることができます。今回ご紹介した手法を実践し、コンバージョン率の向上とビジネスの成功を目指しましょう。
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