近年、インターネットやデジタル技術の進歩はめざましく、私たちが日常的に利用するウェブサイトも驚くほど便利になりました。なかでも「2025年頃には、今以上に個人に合わせたサービスや機能を提供するウェブ体験が当たり前になる」と言われています。たとえば、海外からのアクセスに対しては自動的に母国語で表示されるサイトや、ユーザーの好み・趣味を学習して必要な情報だけを表示するAI機能などが、さらに進化していくと期待されています。
ウェブサイトは、企業やサービスの「顔」となる大切な存在です。最新のウェブトレンドや技術をうまく取り入れれば、ユーザーに心地よい体験を提供し、ビジネスチャンスを大きく拡大することにつながります。逆に、トレンドに乗り遅れたり、情報管理がおろそかだったりすると、ユーザーからの信頼を損ないかねません。
本記事では、多言語対応、プライバシー重視、パーソナルAI、インクルーシブデザインといった2025年に向けて急速に進化しているウェブ制作のトレンドを、一般の方にもわかりやすく解説していきます。これからのウェブサイトがどのように進化し、どのようなビジネスチャンスを生み出す可能性があるのかを探ってみましょう。
リアルタイム翻訳と多言語対応
グローバル化で多言語対応は当たり前に
今やスマートフォンとインターネットが世界中で普及し、私たちは簡単に海外の人ともつながることができるようになりました。たとえばSNSや動画共有サイトで海外のユーザーと交流したり、海外の商品を取り寄せたりすることも増えています。このようなグローバル化が進む中、ウェブサイトにおいても「英語版」だけでなく「多言語での対応」が必要な時代になってきました。
AI翻訳ツールの活用
最近では、AI翻訳ツールがとても高性能になっています。代表的なものには、Google TranslateやDeepLなどがあり、人工知能(AI)が文脈を理解してかなり自然な翻訳を行ってくれます。企業やウェブ制作者は、これらのAI翻訳ツールをサイトに組み込むことで、多言語化をスピーディに進められます。
しかし、文法や文化的ニュアンスまで正確に反映するには、まだ人間のチェックが欠かせません。同じ「こんにちは」でも、日本語では丁寧な表現だけど英語ではカジュアルな「Hi」になってしまうように、言語の違いを理解して使い分ける必要があります。また、ただ翻訳するだけでなく、その国や地域に合わせた色使い、商品の表現方法、支払い方法などをきめ細かく対応する「ローカライズ」も重要です。
多言語対応でビジネス拡大
たとえば日本のEC(オンラインショップ)サイトでも、多言語対応をしたところ、海外からの注文が急増した例があります。「日本製品を買いたいけれど、英語のページがなくてわからなかった」という海外のユーザーが、日本語に加えて英語や中国語などでの対応が整備されたことで、スムーズに購入できるようになりました。世界中のユーザーにとって、言語の壁がなくなることでビジネスチャンスが大きく広がります。
プライバシーファーストの設計
GDPRやCCPAなど、個人情報保護の法律が強化
インターネットが便利になる一方で、個人情報の流出や不正利用といった問題も深刻化しています。個人データを勝手に使われたり、知らないうちに企業に追跡(トラッキング)されていると感じることもあるでしょう。こうした事態を防ぐために、GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)など、世界各地でプライバシー保護のルールが整備・強化されてきています。
この流れを受け、企業やウェブ制作者はユーザーの個人情報やプライバシーを最優先に考えたサイト設計、つまり「プライバシーファースト」の考え方を取り入れる必要があります。
クッキーレスやファーストパーティデータの活用など
クッキーレス技術
従来は「クッキー」という仕組みを使って、ユーザーが何を閲覧したかなどを把握していました。しかし、プライバシー保護の観点から、ユーザーの追跡を行うサードパーティクッキー(広告サービスなど外部の企業が設置するもの)の使用が制限される流れが強まっています。今後は代わりに、ユーザー本人が同意した上で、自社サイトだけで取得する「ファーストパーティデータ」をうまく活用する必要が出てきます。
ユーザー同意管理ツール(CMP)
ユーザーが「どのデータを許可して、どのデータを拒否するか」を細かくコントロールできる仕組みを導入し、同意をきちんと確認・管理するシステムです。これにより、ユーザーは安心してサイトを利用できるようになります。
ビジネスへの影響と未来
「プライバシーをきちんと守るサイトだ」とわかれば、ユーザーからの信頼感が高まり、結果として売上やブランドの評判が上がるという事例も増えています。さらに今後はAIを使って、たとえばユーザーのデータを自動で分析したり、悪用されないようにリアルタイムで監視したりするような技術も発達していくと考えられます。
プログレッシブパーソナルAI
よりユーザーに最適化された体験を
ウェブサイトの数が増えすぎて、必要な情報を探すのが大変…そんな経験はありませんか? 今後はAI技術を活用して、「その人が探している情報を自動で推定し、素早く表示するサイト」が増えていくと予想されています。これが「パーソナライゼーション(個人向け最適化)」の進化形、「プログレッシブパーソナルAI」です。
具体例
動的コンテンツ生成
ユーザーの閲覧履歴や購入履歴、SNSでの反応などを分析し、「あなたにおすすめの商品はこちら」「あなたが好きそうな記事はこれ」といった形でコンテンツを自動で出し分けます。
AIチャットボットの高度化
カスタマーサポートにAIを導入することで、24時間いつでもユーザーの質問に答えられます。これまでのFAQのような単純回答だけでなく、学習を続けることでより自然な対話や複雑な質問への対応が可能になりつつあります。
ユーザー専用ダッシュボードやナビゲーション
ウェブサイトにログインすると、その人専用のメニューが表示されたり、おすすめのコンテンツだけが並んだりして、自分に合った情報だけを最短ルートで見られるようになります。
プライバシー保護とのバランス
個人の好みや行動データを集めすぎると、「どこまでが許容範囲なのか?」というプライバシーの問題がつきまといます。ユーザーのデータが大量に収集されることで、便利になる反面、悪用された場合のリスクも高くなります。ユーザーが「どんなデータが収集されるか」「どのように使われるか」をしっかり理解し、必要に応じてオプトアウト(拒否)できる仕組みが欠かせません。
インクルーシブデザインの深化
多様なユーザーを取りこぼさないために
「インクルーシブデザイン」とは、性別や年齢、国籍、障害の有無など、さまざまな背景を持つ人々が平等に使えるようにデザインする考え方です。たとえば、大きい文字や読みやすい色づかいを導入することで、視力の弱い人や高齢者の方でも利用しやすくなります。また、聴覚障害がある人のために動画には字幕や手話通訳の表示を用意するなど、なるべく多くの人が快適に利用できるようにする取り組みです。
WCAG 3.0に準拠したウェブ制作
ウェブアクセシビリティの国際基準である「WCAG(ウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン)」。2025年以降はさらに洗練された「WCAG 3.0」が普及していく見込みです。これを守ることで、文字のコントラストやフォントサイズの基準が明確になり、視覚障害や色覚特性のある人でも読みやすいページを実現できます。
具体的なポイント
カラーコントラスト
背景と文字色のコントラスト比を高める
フォントサイズ
小さすぎない文字、読みやすい行間
ユーザー補助技術への対応
音声読み上げソフトやキーボード操作のみでサイトを利用できる仕組み
文化的配慮
使う言葉や表現が差別的にならないようにし、地域特有の習慣や文化を考慮したUIデザイン
まとめ
2025年に向けて、ウェブ制作の世界は今まで以上に「技術革新」と「ユーザー中心主義」が融合した方向へと進んでいくでしょう。多言語対応による国境の壁の低減、プライバシーをしっかり守る姿勢、パーソナルAIを活用した快適なユーザー体験、そして多様性に配慮したインクルーシブデザイン。それらを上手に組み合わせることで、多くの人がストレスなくウェブにアクセスできるようになります。
また、どのトレンドも「ビジネスチャンスの拡大」につながる可能性があります。海外から新たな顧客を取り込んだり、ユーザーからの信頼を高めることでブランドイメージをアップさせたり、アクセシビリティの向上で新たな顧客層を獲得したりと、メリットは多岐にわたります。
一方で、技術の進歩により課題もあります。個人データをどう管理するか、過剰なパーソナライゼーションがプライバシーを脅かさないか、どこまでのユーザー層に配慮すべきかなど、考えるべきことが増えるのも事実です。しかし、これらの課題をしっかりと理解した上で対策を進めれば、より良いウェブ体験を実現できるでしょう。
これからウェブ制作をするうえで大切なのは、「人々が求める情報や体験を、適切に、安心して利用できるようにする」という視点です。 2025年以降も続々と出てくる新しい技術を活用しながら、この考え方を土台にしたサイト作りが、競争力とブランド価値の向上を支えるカギになります。ぜひ、自社サイトやサービスに合った方法で、最新のウェブトレンドを取り入れてみてください。
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