A/Bテストは難しくない!初心者でも効果が出せる仕組みとツール紹介

執筆・編集 板浪 雅樹2005年から WEB 業界一筋。500サイト超を手がける SEO・WordPress のエキスパート。「公開後こそ本番」を掲げ、データ分析とユーザー視点で成果を引き出す運用を提案。

2005年に制作会社へ入社後、プログラマーからキャリアをスタート。サーバー構築・データベース設計で培った技術を強みに、WordPress テーマ/プラグイン開発やサイト移行の難案件を多数担当してきました。
2010年以降は SEO エンジニアとしても活動領域を拡大。コンテンツ設計・内部リンク最適化・高速化チューニングにより、競合の激しいビッグキーワードで上位獲得を実現してきました。
現在は TREVO のウェブディレクターとして、要件定義から運用改善まで一気通貫でリード。AI ライティングや GA4/Looker Studio を活用したレポーティング手法を開発し、「数字で説明できるサイト運用」をポリシーにクライアントの ROI 最大化を支援しています。
趣味/強み:筋トレとランニングで日々の集中力をキープ。複雑な課題を“仕組み”で解決するのが得意。
モットー:「サイトは資産。改善を止めた瞬間から価値は目減りする」
SNS:x(旧 Twitter)@TREVO_WEB
この記事は、2015年11月4日に株式会社TREVOの板浪が執筆したブログ記事「ホームページを更新したりリニューアルした日時を記録してますか?」を、2025年の視点から大幅にリライトしたものです。
当時の記事では、ホームページの更新履歴を残すことの重要性や、ABテストを活用して改善を図る方法について、主にWordPressプラグインの紹介を交えて解説していました。ただし、内容が古く、具体的な運用事例や現代のツール、分析方法との乖離があり、Googleの検索インデックスにも登録されていない状況でした。
今回のリライトでは、最新のA/Bテスト戦略(GA4対応やツール比較)、SEO視点での更新記録の活用法、TREVOの実務的な視点を取り入れ、より実践的かつ独自性のある構成へと刷新しました。
大阪の中小企業を中心に、ホームページを「作って終わり」にせず、改善の習慣を根付かせたいと考える方々に向けた、読み応えある実用記事となっています。
A/Bテストの基本とその意義:改善は「勘」ではなく「根拠」で行う

Webサイトを改善する方法にはさまざまありますが、「感覚に頼らない判断」ができる手法として注目されているのがA/Bテストです。
A/Bテストとは、ひとことで言えば「Webページの異なるバージョンを比較し、どちらがより成果を出せるかを実際のユーザー行動から判断する」方法です。たとえば、Aは今のページそのまま、Bはボタンの色を変更したパターン。両者をランダムに表示し、ユーザーの反応(クリック率やコンバージョン率など)を計測して、その差をデータで確認します。
このテストのポイントは、変更箇所を1つに絞ること。複数の要素を同時に変えてしまうと、どれが効果に影響を与えたのか分からなくなるからです。
A/Bテストで得られる4つのメリット
コンバージョン率(CVR)の向上
ユーザーが「行動を起こしやすくなる」デザインやコピーを見つけることで、資料請求や購入といった成果に直結します。
クリック率(CTR)の改善
特定のボタンやリンクがより目立つ、または魅力的に見えるパターンを選ぶことで、離脱を減らし、回遊率も上がります。
ユーザー体験(UX)の最適化
ページの構成や流れをユーザー目線で調整することができ、ストレスの少ない使いやすいサイトになります。
感覚に頼らない“データドリブン”な判断の実現
社内で意見が割れがちな改善案も、データという「第三者の証拠」を基に合意形成が進めやすくなります。
小さな改善を“勘”に頼って積み上げていくのではなく、ユーザーの実際の行動に基づいて取捨選択していく。これが、A/Bテストの大きな意義です。
成功するA/Bテストの準備とは?目標と仮説で差がつく

A/Bテストは「やれば成果が出る」魔法の施策ではありません。むしろ、準備段階がすべてを決めるといっても過言ではないほど、このプロセスが成功のカギを握っています。
株式会社TREVOでも、仮に将来的にA/Bテストを導入する際は、ここで紹介する3つのポイントを徹底して準備したうえで臨むことが必須だと考えています。
目標とKPIの明確化:何をゴールとするのか?
A/Bテストを行う前に、「どの数値を伸ばしたいのか」を明確にしておく必要があります。たとえば次のようなKPI(重要業績評価指標)が代表的です:
- CTR(クリック率):バナーやリンクがどれだけクリックされたか
- CVR(コンバージョン率):資料請求や商品購入などの最終成果が発生する割合
- 直帰率・離脱率の改善:特定のページで離脱せず、次の行動へ移ったかどうか
- 平均エンゲージメント時間:ユーザーがどれだけそのコンテンツに滞在したか
これらを曖昧なままテストを始めると、結果をどう評価すればいいか分からず、せっかくのテストが無意味になってしまいます。
「トップページの問い合わせボタンのクリック率を、現状の3.2%から4.0%以上にしたい」
「LPのコンバージョン率が1.8%なので、2.5%を目標に改善を図る」
など、定量的な目標を設定することが出発点です。
仮説の設定:変更の“理由”が成果に直結する
仮説はA/Bテストの軸となるものです。なぜその変更が効果的だと考えるのか?根拠のない変更は“当てずっぽう”に過ぎません。
例
- 「ユーザーはスマホで閲覧しているため、現在の小さなボタンはクリックしづらいのでは?」
- 「ファーストビューのキャッチコピーが長すぎて、何のサイトかわかりづらいのでは?」
- 「女性ユーザーが多いので、カラートーンを柔らかくした方が離脱を防げるかもしれない」
こうした仮説は、過去のアクセス解析データやユーザーインタビュー、ヒートマップの視覚データなどから導き出します。
仮説をしっかり立てることで、テスト結果が思わしくなかったとしても「なぜ効果がなかったのか?」を次に活かせるようになり、PDCAを回す意味が出てきます。
テスト対象の絞り込み:変更点は“一つだけ”に
ありがちな失敗が、「バナーも、CTAボタンも、テキストも全部変えてテストしよう」というやり方です。これは一見効率的に思えますが、どの変更が効果をもたらしたのかを判断できなくなり、分析不能なデータになってしまいます。
テスト対象は、ユーザー行動に直結する要素を優先的に選びましょう。
- ファーストビューのメインコピーや画像
- CTA(コール・トゥ・アクション)の文言、ボタンの色・サイズ・位置
- 商品ページの説明テキストの構成
- ナビゲーションの配置や導線
また、変更点が1箇所でもユーザーにとって視認性や意味合いが変わる要素であることが重要です。「目立たない位置の文言変更」などでは、十分なインパクトが得られず、差が出にくくなります。
A/Bテストの目的は“証明”である
忘れてはならないのは、A/Bテストの目的は「変えること」ではなく「効果のある変更を証明すること」です。
目的なきテスト、仮説なき変更、軸のないKPI——これらは失敗に直結します。しっかりと目標を設定し、検証可能な仮説を立て、ユーザーに影響を与える要素に集中してテストする。そうすることで、施策の“精度”が大きく変わってきます。
このような準備を経て初めて、「これは改善できる変更だ」と自信を持って導入できるのです。
実践フェーズ:信頼性あるA/Bテストの運用方法

A/Bテストは、仮説を立てて終わりではありません。実行フェーズにおいても、正確な方法でテストを行うことで初めて意味のあるデータが得られます。
単にページを2種類作ってアクセスを集めるのではなく、「実験」としての設計精度が問われる段階です。ここでは、実行を4つのフェーズに分けて、ポイントごとに解説していきます。
テスト環境の構築:パターンAとBを正確に用意する
まず必要なのは、比較対象となる2つのバージョンの明確な準備です。ここで重要なのは、テスト対象の要素だけを変更し、その他の構成・内容・掲載位置などは完全に一致させることです。
例
- A:現状のランディングページ。CTAボタンの文言が「お問い合わせはこちら」
- B:ボタンの文言を「無料相談を申し込む」に変更したバージョン
このように、変更点は1つに絞ることで、その変更による反応の違いを純粋に測定できます。
もし他の要素も同時に変更してしまうと、何が成果に影響したのかを判断できず、テストの信頼性が損なわれます。これは“テストの失敗”ではなく、“設計ミス”です。
トラフィックの分割:ランダムで均等な振り分けが基本
テストパターンの準備ができたら、次はユーザーの振り分けです。最も理想的なのは、アクセスしてくるユーザーをランダムにAとBのパターンへ均等に割り当てることです。
ここでの注意点
- 同一ユーザーがAとBの両方を見ないようにする(セッション単位で固定)
- ユーザーの属性(地域、デバイス、時間帯)などに偏りが出ないよう、できるだけ条件を揃える
- 配信期間をA/Bともに完全に一致させ、時期による外的要因を排除する
たとえば月曜の朝はBだけ、金曜の夜はAだけ表示…というような状況では、時間帯や曜日の影響が出てしまい、純粋な比較ができません。
Google広告や一部のA/Bテストツールでは、このトラフィック分割を自動で均等かつランダムに行ってくれる機能があります。WordPressプラグインを利用する場合でも、このトラフィックコントロール機能が搭載されているものを選ぶとよいでしょう。
データの収集:量と質のバランスを意識する
テストがスタートしたら、表示回数・クリック数・CV(コンバージョン数)などの主要な指標を、リアルタイムまたは定期的にモニタリングしていきます。
ただしここで大切なのは、焦らず、十分なサンプル数が集まるまで待つことです。
一般的な目安は以下の通り
- 最低でも1,000〜2,000UU(ユニークユーザー)が必要
- 月間のCV数が少ない場合は、2〜4週間程度の実施が推奨される
- 平日・休日、時間帯による行動の違いも含めてカバーする必要がある
また、データ収集期間中に何らかの外的変動(例:SNSでの拡散、広告出稿、Googleアップデート等)があった場合、その影響を除外して判断するためにはログの管理や注釈記録も重要です。
統計的な評価:p値とZスコアを活用した“確実な判断”
テスト結果を「なんとなくBの方が良さそう」では終わらせてはいけません。統計的に“有意差がある”かどうかを評価することで、A/Bテストの信頼性が確保されます。
評価に使われる主な指標は次のとおりです。
p値
2つのパターンの差が「偶然である確率」。p値が0.05未満であれば、差は統計的に有意と判断されます。
Zスコア
AとBの差が、母集団平均からどれくらい離れているか(標準偏差ベースで評価)
例
AパターンのCVR=1.5%、BパターンのCVR=2.1%、p値=0.032
→ 有意差あり。改善が効果的と判断できる
また、テスト開始前に「この数値が出たら改善とみなす」という基準を決めておくことも、分析のブレを防ぐポイントです。
Googleアナリティクス4(GA4)やツールによっては、こうした統計処理を自動で行ってくれる機能もありますが、最終的な判断は自社でコントロールできる設計が理想です。
補足:p値の計算方法とAIや無料ツールの活用
p値(p-value)は、A/Bテストにおいて「差が偶然かどうか」を判断するための統計的指標です。
p値やZスコアの計算は統計の知識を要するため、初めての方には少し複雑に感じるかもしれません。
最近では下記の「前提とするデータ」をChatGPTなどのAIにデータを入力して計算をお願いすれば、数式を理解していなくても自動で結果を出してくれます。
前提とするデータ
| 指標 | Aパターン | Bパターン |
|---|---|---|
| CVR(コンバージョン率) | 1.5%(=0.015) | 2.1%(=0.021) |
| 表示数(訪問数) | 10,000 | 10,000 |
| コンバージョン数 | 150 | 210 |
各パターンの成功数・失敗数を算出
- Aの成功数:150
- Aの失敗数:10,000 – 150 = 9,850
- Bの成功数:210
- Bの失敗数:10,000 – 210 = 9,790
無料のA/Bテスト用ツール
これらを活用することで、複雑な統計計算に悩まず、データに基づいた判断をスムーズに行うことが可能になります。
WordPressでA/Bテストを導入するには?おすすめのプラグイン紹介
A/Bテストというと、GA4やJavaScriptでの細かい設定が必要というイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし、WordPressを使っているサイトであれば、比較的手軽にテストを実施できる環境が整っています。
その大きな理由が、豊富な専用プラグインの存在です。コードを書かずに設定ができるものから、多機能で大規模な検証に対応できるものまで、目的やスキルレベルに応じた選択が可能です。
ここでは、特に導入実績が多く、評価の高い代表的な3つのプラグインをご紹介します。
【多機能型】Nelio AB Testing
- 対応範囲:投稿・固定ページ・メニュー・ウィジェット・テーマなど広範囲
- 特徴:強力な統計解析機能/Googleアナリティクスとの連携可/無料プランあり
- おすすめポイント:本格的なA/Bテストを行いたいサイト運営者や、中規模以上の企業向け
Nelio AB Testingは、WordPressで動く「最も本格的なA/Bテストソリューション」の一つです。テスト対象を投稿や固定ページだけに限定せず、メニューやテーマ自体に対しても設定できるため、柔軟性が非常に高いのが特徴です。
また、Googleアナリティクス4(GA4)との連携も可能で、テスト結果を他のKPIとあわせて統合的に分析したい場合に非常に便利です。
有料プランに切り替えることでテスト数や同時実行数も増やせるため、継続的に改善を重ねたい企業には最適な選択肢といえるでしょう。
【ノーコード・初心者向け】VK AB Testing
- 対応範囲:投稿/固定ページなど
- 特徴:ブロックエディタ対応/集計グラフあり/国産の安心設計
- おすすめポイント:初めてA/Bテストを行う人、中小企業や制作会社におすすめ
「VK AB Testing」は、日本のWordPressユーザー向けに開発されたノーコード対応のA/Bテストプラグインです。WordPressのブロックエディタ(Gutenberg)と完全互換しており、管理画面でそのままA/Bパターンを作成、表示回数・クリック数・CTRを自動で計測してくれます。
複数パターンの同時比較(多変量テスト)にも対応しており、見出しや画像のテストを短期間で何パターンも試すといった施策にも適しています。
日本語環境で使いやすく、設定や集計がすべてWordPress内で完結するため、GAなどに不慣れな方でも安心して運用できます。
【シンプル&軽量】My WPA/B Testing
- 対応範囲:1つの要素に特化したA/Bテスト
- 特徴:動作が軽快/最小限の設定で導入可能/テスト設計も簡単
- おすすめポイント:とにかく手軽に始めてみたい人、リソースが限られる個人サイト向け
「My WPA/B Testing」は、最小限の構成でシンプルなテストを実現できる軽量プラグインです。特定のボタンやテキスト、画像などの要素を差し替えて表示し、その反応を確認する形式が得意です。
【柔軟な表示切替】LIQUID CONNECT
- 特徴:複数のバナーをランダム表示/新規ユーザーとリピーターで表示内容を切替/Googleアナリティクス連携
- おすすめポイント:細かなユーザーセグメントに応じたテストを実施したい方に
LIQUID CONNECTは、ユーザー属性による出し分けを前提に設計されたプラグインです。「新規訪問者にはキャンペーンバナーを」「再訪者には特典付きバナーを」など、状況に応じたパターン表示が可能。通常のA/Bテストを超えた、パーソナライズ型テストにも対応できます。
また、Googleアナリティクスと連携できるため、詳細な行動分析も可能で、より高度な運用を行いたい中〜上級者向けの選択肢と言えるでしょう。
【バナー+CTA特化型】AdRotate Banner Manager
- 特徴:バナーのランダム表示/CTA要素に特化/操作がわかりやすく初心者にもやさしい
- おすすめポイント:CTAボタンやバナーの表示タイミングを検証したいときに
AdRotateは、広告管理とA/Bテストが一体になったような設計で、特に「クリックされるバナーとは何か?」を突き詰めたいときに強い味方となります。
広告のように使えるため、キャンペーン施策や限定案内などと相性がよく、マーケティング寄りの改善施策を考える方におすすめです。
【とにかく簡単!】こじかABテスター
- 特徴:配信比率の設定、ショートコードで設置可能、CTRがグラフで可視化
- おすすめポイント:シンプルなテキスト・ボタンのテストから始めたい方に
こじかABテスターは、「テストはやってみたいけど、操作に不安がある…」という方向けに作られた非常にシンプルなA/Bテストプラグインです。
管理画面で2パターンの表示内容とその比率を決め、生成されたショートコードを記事やウィジェットに貼り付けるだけでテストが始まります。計測結果もグラフで分かりやすく表示されるため、データに不慣れな人でも“違い”を視覚で把握できるのが大きな魅力です。
複雑な統計処理や外部ツール連携などは省かれており、「まずはA/Bテストを体験してみたい」という入門用途に非常に向いています。負荷も少なく、古いテーマやプラグイン環境でも動作が安定している点も利点です。
プラグイン選定時のチェックポイント
| チェック項目 | なぜ重要か? |
|---|---|
| A/B対象の種類 | テキストだけか?ページ単位もいけるか? |
| GAとの連携有無 | 外部ツールとの統合分析ができるか |
| ノーコード対応 | コーディングなしで設定可能かどうか |
| 統計処理の自動化 | 結果を科学的に判定できるか |
| 日本語対応・サポート体制 | 導入後の不安を減らせる |
WordPressならではのA/Bテストの魅力
WordPressを利用していることで、コストを抑えながらも、本格的なA/Bテストが手軽に行えるという環境が手に入ります。プラグインを導入するだけで、テスト設定・配信・データ集計までがワンストップで完了するのは、他CMSにはない大きな利点です。
中小企業のホームページ運用でも、手をかけた部分が“成果に繋がっているか”を確認し、PDCAを回す体制を構築することが、今後ますます重要になっていきます。
次章では、その成果をいかに測定し、改善に活かすか――GA4を活用した分析方法を解説していきます。
A/Bテストを行う際に気をつけたい3つのポイント

変更は「1か所ずつ」が原則
複数の要素を同時に変更してしまうと、「どの要素が結果に影響したのか」が分からなくなってしまいます。
たとえば、見出しの文言とボタンの色を同時に変えてCVRが上がったとしても、どちらが要因だったのかを特定できません。
そのため、一度のテストで変更するのは1箇所に限定し、シンプルかつ明確な比較ができるように設計することが大切です。これにより、各変更が成果にどう影響したのかを正確に読み取ることができ、次の改善ステップにも活かせます。
実施前に「計画と仮説」をきちんと立てる
やみくもにテストを始めても、得られるのは断片的なデータだけです。目的が不明確なテストでは、結果の解釈にも一貫性がなくなります。
テスト前には以下を明確にしておきましょう。
- 何を改善したいのか(例:CTAのクリック率を上げたい)
- どこをどう変更するのか(例:ボタンの文言を「無料で相談」→「今すぐ無料相談」に)
- なぜその変更が効果的と考えたのか(仮説)
これらを紙に書き出す、スプレッドシートに整理するなどして、論理的な設計と実施体制を整えておくことが、信頼できるテスト結果につながります。
SEOペナルティを防ぐための設定を忘れずに
A/Bテストの際に複数ページを用意する場合、検索エンジンからの評価に悪影響を与えないための設定が重要です。
特に以下の点に注意しましょう。
- Canonicalタグを使用して、どのURLが“正規”であるかをGoogleに明示する
- クローキング(ユーザーとクローラーで異なる内容を見せる行為)を避ける
- テストで使用するURLは、一時的な302リダイレクトを用いて切り替える
- Googleの検索ガイドラインに準拠して運用する
これらのSEO対策を怠ると、意図せず重複コンテンツ扱いになったり、検索順位が下がったりする恐れがあります。テストの設計段階から、SEOとのバランスにも気を配りましょう。
A/Bテストは、正しく行えば大きな成果につながる強力な改善ツールです。だからこそ、「小さなミス」が結果全体を左右してしまわないように、準備・設計・運用の各段階で注意を払って実施していきましょう。
Googleアナリティクス4で結果を分析:何を見るべきか?
A/Bテストの成果を正しく評価し、次の改善施策につなげるためには、データの分析が欠かせません。その中心となるのが、Googleアナリティクス4(GA4)です。
従来のユニバーサルアナリティクス(UA)とは異なり、GA4は「イベントベース」の計測モデルを採用しています。これにより、ユーザーの行動をより細かく、柔軟に捉えることが可能になりました。A/Bテストの各パターンがユーザーにどう受け止められたのか、その「質」の違いを深く掘り下げるための最強のツールといえるでしょう。
株式会社TREVOでも、GA4を用いて以下の4つの指標を特に重視し、社内の改善にも、お客様への提案にも活用しています。
アクティブユーザー数が本当に見られているかを把握する
アクティブユーザー数とは、一定期間内に実際にサイトにアクセスし、何らかのアクションを起こしたユーザーの数を示します。
これにより、A/Bパターンのどちらが「興味を持たれているか」を定量的に判断できます。特にリニューアル直後やデザイン変更後にアクティブユーザー数が減少していれば、“見た目は良くなったが、魅力は減った”可能性があると捉えることができます。
ユーザーあたりのビュー数が深く読み込まれているかを測る
「ユーザー1人が、平均して何ページ見ているか」を示す指標です。
A/Bテストで改善したページ(例えばトップページやLP)が、ユーザーをより深い場所に誘導できていれば、ユーザーあたりのPVは明確に増加します。これは、サイト構造や導線の改善が成果を出しているかを示す大きなヒントになります。
注意点として、ページ数が多いことが必ずしも良いわけではありません。意味のない回遊や迷いが増えているだけの可能性もあるため、他の指標と組み合わせて判断する必要があります。
平均エンゲージメント時間は表面的な数字では見えない「滞在の質」
GA4では、「平均セッション時間」に代わって平均エンゲージメント時間(平均エンゲージメントの長さ)が導入されています。これは、ユーザーが実際に画面をアクティブにしていた時間の平均値を表すものです。
例えば、デザイン変更で読みやすさやレイアウトを改善した場合、エンゲージメント時間が伸びていれば、「しっかり読まれている」ことが裏付けられます。逆に、アクセス数が増えたのにエンゲージメント時間が下がっているなら、改善は空振りだった可能性もあります。
TREVOでも、この指標は特にお客様へのレポートで重視しており、CV(コンバージョン)に直結する「質の高い訪問」の見極めに使っています。
キーイベントの数:成果に直結するアクションを追いかける
GA4では、ボタンクリック・フォーム送信・スクロール・リンク遷移など、あらゆる行動が「イベント」として記録されます。
A/Bテストにおいては、「CTAボタンのクリック」「資料請求フォームの送信」「バナーのクリック」など、事前に設定したキーイベント(主要アクション)の数を比較することで、どちらのパターンが成果につながっているかが分かります。
例えば、タイトルの違いを検証する場合、CTRやスクロールの深さなどとあわせて、「読み進めた上で申し込んだかどうか」を定量的に判断できます。
このイベントトラッキング機能は、GA4の真骨頂とも言える部分です。GTM(Googleタグマネージャー)と連携して計測項目を柔軟に増やせば、A/Bテストの評価精度は一気に向上します。
データの解釈には“組み合わせ”が大事
A/Bテストの分析では、1つの指標に依存するのではなく、複数の指標を組み合わせて判断することが極めて重要です。
- アクティブユーザーが増えたが、平均エンゲージメント時間が下がった → 誘導には成功したが、内容に問題があるかも
- ユーザーあたりのビュー数が増えた上に、キーイベントも増えている → 導線と誘導がともに成功している可能性が高い
- イベント数は変わらないがエンゲージメント時間が長くなった → じっくり読んでいるが、次のアクションに至っていない可能性あり
こうした多面的な見方によって、見かけの数字に騙されず、本質的な改善ができるようになります。
TREVOの活用スタンス
株式会社TREVOでは、GA4を活用してお客様のサイト改善提案にも「説得力ある根拠」を添えることを心がけています。特に、「平均エンゲージメント時間」と「アクティブユーザー数」は、経営層にも直感的に伝わりやすいため、レポートや打ち合わせでよく活用しています。
A/Bテストを行う際には、これらの指標を軸にしながら、成功パターンを可視化し、確実に次の一手につなげる体制が整っているのです。
まとめ
ホームページ制作というと、一般的には「デザインを完成させて公開する」ことがゴールのように思われがちです。しかし、実際に効果を出すサイト運用というのは、公開後にどれだけ丁寧に改善を重ねられるかにかかっています。
その改善を支えるのが、「データ分析」です。
分析の力
そして、もう一つの柱が分析です。特にA/Bテストは、どの表現やレイアウトがユーザーに受け入れられるかをデータで検証できる貴重な手法です。
Googleアナリティクス4やWordPressのA/Bテストプラグインを活用すれば、直感に頼らず数字という“第三者の意見”に基づいた判断ができます。そこにTREVOが注目している「アクティブユーザー数」や「平均エンゲージメント時間」といった指標を組み合わせることで、改善の方向性にブレがなくなります。
「育てるホームページ」こそが資産になる
更新を重ねて変化を記録し、A/Bテストを通して反応を確認し、GA4で成果を分析する。これらのサイクルを何度も回すことで、ホームページは“完成品”ではなく“成長する存在”になります。
そして、こうした地道な運用こそが、他社には真似できない「資産」となり、競合との差別化ポイントになっていくのです。
TREVOでは、こうした運用の仕組みづくりからお手伝いし、お客様のホームページが時間とともに価値を高めるメディアへと育っていくサポートをしています。
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大阪のホームページ制作会社TREVOでは、最短2日で仮サイトを公開できるスピード対応や、SEO対策に強いオリジナルデザインの制作サービスを提供しています。









