ホームページ制作で“デザイン至上”は正解か【2025年版・現場の判断基準】

執筆・編集 板浪 雅樹2005年から WEB 業界一筋。500サイト超を手がける SEO・WordPress のエキスパート。「公開後こそ本番」を掲げ、データ分析とユーザー視点で成果を引き出す運用を提案。

2005年に制作会社へ入社後、プログラマーからキャリアをスタート。サーバー構築・データベース設計で培った技術を強みに、WordPress テーマ/プラグイン開発やサイト移行の難案件を多数担当してきました。
2010年以降は SEO エンジニアとしても活動領域を拡大。コンテンツ設計・内部リンク最適化・高速化チューニングにより、競合の激しいビッグキーワードで上位獲得を実現してきました。
現在は TREVO のウェブディレクターとして、要件定義から運用改善まで一気通貫でリード。AI ライティングや GA4/Looker Studio を活用したレポーティング手法を開発し、「数字で説明できるサイト運用」をポリシーにクライアントの ROI 最大化を支援しています。
趣味/強み:筋トレとランニングで日々の集中力をキープ。複雑な課題を“仕組み”で解決するのが得意。
モットー:「サイトは資産。改善を止めた瞬間から価値は目減りする」
SNS:x(旧 Twitter)@TREVO_WEB
株式会社TREVOの板浪です。2015年ごろは「派手=正解」という空気もありましたが、いま実務で効くのは目的→体験品質→表現(見た目)の順で決めること。この記事では、見た目のデザインに実際に含まれる要素となる、レイアウト・色・タイポグラフィ・余白・画像/図解・動き・アクセシビリティを棚卸しし、それらが第一印象や処理流暢性、近接とまとまり、“目立ちの法則”といった心理にどう作用してKPI(問い合わせ・応募・クリック)を動かすのかを、現場の実感を交えて整理します。派手さを足す前に“伝わる設計”で成果を底上げするための、2025年版の判断基準です。制作について[ホームページ制作]ページでご確認いただけます。
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まず“目的と主要行動”を一行で決める
ホームページ制作において最初に考えるべきは「見た目」ではなく、サイトでどんな行動を増やしたいかという一点です。ゴールを決めずにデザインを議論すると、「もっと派手に」「余白を減らして情報を詰めよう」といった意見の応酬に終始し、結局“誰のためのサイトか”がぼやけてしまいます。
何を増やすのかを単語で固定
具体的には「お問い合わせ送信」「見学予約」「電話発信」「採用応募」「カタログDL」など、一言で言える行動に落とし込みます。この一行が定まれば、デザインは自ずと「どの要素を強調し、どこを控えめにするか」という優先順位づけができます。私の経験では、この一行を先に固めた案件ほど、リニューアル後の成果が分かりやすく伸びています。
表示環境と制約を先に洗い出す
目的が決まったら、次に大事なのが表示環境と運用条件の把握です。
- ユーザーは移動中にスマホで閲覧するのか、それともデスクワーク中にPCでじっくり見るのか。
- 回線速度や端末性能にばらつきはないか。
- 更新頻度を高く保てる体制があるのか、それとも年に数回しか手を入れられないのか。
これらの条件次第で「動画やアニメーションを積極的に使うのか、それとも静止画とテキストを中心にするのか」の判断が大きく変わります。制約を先に洗い出すことで、無理のない範囲で“目的に効く見た目”を選びやすくなります。
「デザイン(見た目)」に含まれる範囲の棚卸し

見た目のデザインとは、単なる装飾ではなく、「ユーザーに見せたいことをどう伝えるか」を設計すること。ここでは、目的に効く見た目の構成要素を一つずつ定義し、整理していきます。
レイアウトと視線誘導
レイアウトとはページ上での要素配置や余白、比率を指し、自然な“情報の序列”を作ります。人の視線は左上から右下へ流れやすいため、主役(要点)→説明→行動(CTA)の順に並べると、直感的で読みやすく、離脱率の低下にもつながります。これは“視覚的階層(visual hierarchy)”の原理であり、研究でも支持されています。
色とコントラスト
色は見た目の役割を明確化します。たとえば、「本文用」「見出し用」「強調用」「CTA用」と色味を使い分ければ、一目で情報の重要度が分かります。また、本文のように読ませたいコンテンツは背景との高いコントラストで可読性を確保し、視覚的に見せたいイメージは周囲を“静かに”することで引き立てる。色選びがコンバージョンに与える影響は最大で24 %に達することがあります。
参考サイト:ウェブサイトデザイン心理学:色とレイアウトがコンバージョンに与える影響
タイポグラフィ(書体・行間・字間)
書体によって「堅実」「優しい」「モダン」など印象が変わるのはもちろん、読みやすさが最優先。1行あたり全角28〜36文字前後、行間は文字サイズの1.6〜1.8倍を目安にすると、読了率が上がる傾向があります。さらに、適切なサイズ・行間は離脱率を最大15 %、コンバージョン率を約10 %改善するとする調査もあります。
参考サイト:ウェブデザインにおけるタイポグラフィはユーザーエンゲージメントにどのような影響を与えるのか
画像・イラスト・図解
写真は「被写体の視線」や「手の動き」によって視線誘導が可能。イラストや図解は、抽象的な概念を瞬時に伝える投資となり、文章を減らしてユーザーの理解を促進します。視覚的構成がユーザーの行動に影響を与えることは、学術研究でも指摘されています。
動き(アニメーション/トランジション)
動きは、説明・状態変化・視線誘導に必要な場合だけに使うべきです。ユーザーを驚かせる目的や、無意味に動かすスタイルは避けましょう。
特に自動再生の動画や音声は、OFF設定が鉄則で、再生は必ずユーザー起点で行うのが基本です。
コンポーネントの統一感
ボタン、カード、バッジといったパーツも“見た目の一部”です。角丸・影・線幅などを統一することで、認知負荷が下がり、ユーザーが自然に操作できるようになります。
フォーム要素(入力欄・エラー表示)もデザインに含める意識が重要です。
アクセシビリティに関わる見た目
見た目の品質はアクセシビリティとも直結します。文字サイズ・コントラスト比・タップ面積などを整えることで、離脱率の低減やエンゲージメント向上につながります。
読みやすさと触りやすさを意識した設計は、見た目が整っていること以上に効果的です。
心理的効果が“見た目経由”でKPIに効くメカニズム

ホームページ制作において「見た目を整えること」は、単なる美しさの追求ではありません。デザインの細部が、ユーザーの心理に影響を与え、そのまま数値(KPI)に表れることが多々あります。ここでは、現場でよく実感する心理的効果を整理してみます。
第一印象(初頭効果/ハロー効果)
ページを開いた最初の3秒で決まる印象は、その後の読み進め方や信頼感に直結します。余白が乱れていない・文字や画像がきちんと揃っている・色が自然に収まっている、これだけで「丁寧に運営されている」という安心感を与えます。結果として、直帰率が下がり、スクロールされる確率が高まるのです。
見た目が“使いやすさ”に見える現象
人は見た目の整ったサイトを「使いやすい」と感じやすくなります。つまり、多少の入力ステップがあっても、乱雑なデザインより粘り強く操作してくれます。導入例として、TREVOでは2025年5月のリニューアルにより、お問い合わせ件数が増加(+約143 %)し、フォーム完了率が大きく改善しました。
処理流暢性(読みやすさは“気持ちよさ”)
行間・段落・見出しのバランスが整っていると、読むこと自体が心地よくなります。この“読みやすさ”を心理学では処理流暢性と呼び、ストレスなく読める環境が読了率・スクロール深度を押し上げます。その結果、ユーザーがCTA(問い合わせボタンや資料請求など)に触れる確率も上がります。
目立ちの法則(埋没させない)
あれもこれも目立たせようとすると、結局すべてが埋もれてしまいます。強調すべきはひとつのCTAだけ。色や形を1段階だけ強くすることで「ここが行動の入り口だ」とユーザーに伝わり、クリック率の向上につながります。
近接とまとまり(情報の“塊”を作る)
関連する情報を近くにまとめるだけで、理解のスピードは一気に上がります。逆にバラバラに配置すると、ユーザーは探すストレスを感じ、離脱しやすくなります。情報を塊として整理することは、問い合わせ前の迷いを減らし、離脱率を下げる効果があります。
事例で見る効果の裏付け
コンバージョンサイエンスの例
ホームページのデザイン改善によりリードが+250 %増加した例として紹介されているサイトがあります。
参考ページ:このウェブサイトの再設計により、完成までにリードが250%増加しました
Nielsen Norman Groupの例
また、リニューアルによって直帰率がおよそ −38 %、リード(問い合わせ)率が+47 %向上した実例も報告されています。
参考ページ:ケーススタディ:ウェブサイトの再設計によるリードジェネレーションの向上
Nielsen Norman Groupの例
ユーザー体験を重視したリニューアルによって指標全般が平均75 %改善したケースもあります。
参考ページ:UX改善の定量化:ケーススタディ
2025年版・“見た目”の判断フロー(現場で使える最短手順)
デザインの議論が長引く原因は、「好み」や「感覚」に流れてしまうことです。そこでおすすめなのが、“見た目”を判断するフローを最短手順として決めておくこと。これをA4一枚にまとめてチームで共有すれば、社内合意も早まり、無駄な“盛り足し”を防ぐことができます。
目的を一行で固定する
例:「問合せ送信」「採用エントリー」「電話発信」など。曖昧なまま進めると、デザインは迷走します。
主要行動の導線を一本にする
流れはシンプルに ファーストビュー → 説明 → 証拠(実績や声) → CTA。寄り道をなくし、行動まで一直線の道筋を作ります。
制約を明記する
「モバイル中心かPC中心か」「回線や端末性能に制限はあるか」「更新頻度は高いのか低いのか」。これらの条件を先に洗い出しておくことで、動画やアニメーション採用の可否も即決できます。
体験品質の最低ラインを確保する
INP・LCP・CLSなどのCore Web Vitalsを“黄色信号にしない”レベルを基準とします。読み込みや操作にストレスがあれば、どんな見た目も成果につながりません。
表現候補を○×で評価する
動画/静止画/図解/テキスト。それぞれ「目的と制約に合うか」でシンプルに判定します。凝った演出でも「目的に効かない」なら×と判断する勇気が必要です。
スモールテストを繰り返す
改善は一度に一つだけ。例えば「ヒーロー画像の差し替え」「CTAの形状変更」「本文行間の調整」など。小さなABテストを積み重ねることで、何が効いたのかが明確になります。
計測して合意形成する
指標はスクロール深度、CTAクリック、電話タップ、フォーム開始率など。数字で語れば「見た目は感覚の話」ではなく、「成果の話」になります。
実務で使えるチェックリスト(A4一枚にまとめて活用可能)
□ 目的は一行で明文化したか?
(例:「問い合わせ送信」「採用応募」など)
□ 主要行動の導線を一本に絞ったか?
(ファーストビュー → 説明 → 証拠 → CTA)
□ 回線・端末・運用の制約を明記したか?
(スマホ中心/PC中心、更新頻度など)
□ 体験品質(INP・LCP・CLS)は基準内か?
(黄色信号=改善対象)
□ 表現候補を目的に沿って○×評価したか?
(動画/静止画/図解/テキスト)
□ テストは一度に一つだけ行ったか?
(ヒーロー差し替え、CTA形状、行間調整など)
□ 計測指標を明確にしたか?
(スクロール深度/CTAクリック/電話タップ/フォーム開始率)
リッチ表現の“使い所”と“引き算”
ホームページの見た目を考えるときに、「もっと動画を入れた方がいいのでは?」「アニメーションで動かした方が目立つのでは?」という議論が必ず出てきます。
しかし、リッチな表現は“盛れば成果が出る”ものではなく、目的を果たすためにどこで効かせるかが重要です。
不要に使えば、逆にユーザーの負担やサイト速度の低下を招きます。ここでは、現場で実際に成果につながった“使い所”と、あえて“引き算”すべきポイントを整理します。
動画は「説明コストを下げる時」だけ
動画の役割は、ユーザーが理解するまでに必要な時間を短縮することにあります。
例えば、工場の動作や複雑なサービスの仕組みなど、文章や静止画だけでは伝わりにくい内容は、動画の方が圧倒的に早く伝わります。
ただし、自動再生は避け、静止画+再生ボタンを基本としましょう。これにより、ユーザーが自分の意思で再生でき、ストレスを感じにくくなります。
私自身、大阪のお客さま案件で、まだYouTubeが一般化する前にTOPページのメインビジュアルへ直接動画を埋め込んだことがありました。当時は配信サービスが回線速度に合わせて調整してくれる仕組みがなく、読み込みに時間がかかり離脱率が増加する結果となりました。
現在ではYouTubeやVimeoのように最適化配信が可能になり、読み込み問題は大きく改善されています。
しかし、TOPページの滞在時間が上がるかどうかは依然として疑問が残るのが現場での実感です。
動画は便利ですが、あくまで「説明コストを下げるための手段」と捉えるのが安全です。
アニメーションは“必要な瞬間”だけ
アニメーションは、変化や因果関係を短時間で説明するための最短手段として使うのが適切です。
例えば「カーソルを合わせたら詳細が出る」「ステップが進むと進行度が可視化される」といった場面では、ユーザーの理解を助けます。
一方で、“とりあえず動かす”だけの演出は、認知負荷を増やすうえにINP(応答性指標)の悪化につながりかねません。動かす理由がないアニメーションは、引き算してしまった方が成果に直結します。
写真とイラストの役割分担
写真とイラストは、それぞれ役割が異なります。
- 具体的な事実や実態を見せたいときは写真(建物、スタッフ、製品など)。
- 抽象的な概念や仕組みを理解させたいときは図解やイラスト(サービスの流れ、価値観、強みなど)。
もし迷ったら、見出しでテーマを提示 → 要点を一行で整理 → 補足を図1枚で示すという順番が鉄則です。これだけで情報の伝わり方が格段にスムーズになります。
小さな投資で効く“見た目”改善(短期でやるなら)

見た目の改善は、必ずしも大規模リニューアルでなければ成果が出ないわけではありません。少しの手直しで体感できる効果も多く、短期的に数字を改善したいときに有効です。以下は、現場でよく効いた「小さな投資」の具体例です。
余白の基準を決めて全ページで統一
余白はデザインの呼吸です。基準がページごとに違うと「雑然とした印象」になり、読みづらさにつながります。
例えば8pxの倍数で統一するだけでも、見た目が整理され、安心感が増します。
本文の行間と1行長を調整して読了率を上げる
本文が詰まりすぎると、読むのが苦痛になります。全角28〜36文字/行、行間は文字サイズの1.6〜1.8倍を目安に整えると、読了率やスクロール深度が改善され、CTAまで自然に到達しやすくなります。
CTAの造形と位置を統一
「どこが行動の入口なのか」を一瞬で伝えるために、角丸・高さ・影の有無を統一しましょう。
位置もページごとにバラバラではなく、必ず目に入る位置に固定することで、クリック率が上がります。
コントラスト比を満たしつつ、情報密度を下げる
色のコントラスト比はアクセシビリティの観点でも必須です。特に見出し周りは、文字と背景のコントラストを確保したうえで、余白を増やして情報密度を下げると、読みやすさが一気に改善されます。
ヒーローのノイズ源を整理する
TOPページのヒーローに多色バナーや雑多なラベルを並べてしまうと、視線が散って主役がぼやけます。
情報を必要最小限に整理し、視線を一極集中させることで、ファーストビューのメッセージが強く伝わります。
Before/After(実装例の書き換え素)
「見た目」の調整は、ちょっとした工夫で大きな効果を生み出します。ここでは、現場でよくある改善例をBefore/After形式で紹介します。
ヒーロー動画 → 静止画+再生ボタン
Before:自動再生の全面動画。文字が背景に埋もれて読みにくく、読み込みも遅いため離脱率が増加。
After:静止画をヒーローに設定し、明確な1行の見出し+再生ボタンを配置。動画は下層で必要に応じて解説に使用。
効果の狙い:初速の読みやすさを確保しつつ、ユーザーが「行動の入口」をすぐに見つけられるようにする。
低コントラスト本文 → しっかり読める本文
Before:本文色が薄灰色でコントラスト不足。行間も狭く、詰まった印象で読むのが重たく感じられる。
After:本文色を濃く調整し、行間を文字サイズ×1.7倍に設定。段落間には1行分の余白を追加。
狙い:処理流暢性を高め、読みやすさを向上。結果としてスクロール深度や滞在時間の改善につながる。
バナー林立 → 情報を“塊”に
Before:サイドに小さなバナーが多数並び、視線が分散。主導線が埋もれてしまい、ユーザーが迷いやすい。
After:関連情報をカード型の3ブロックに統合。さらに、主CTAだけを強調して視線を集める。
狙い:「目立ちの法則」に基づき主役を浮かせ、クリック率を向上させる。
まとめ
ホームページ制作における「見た目」は、最後に飾りとして足すものではありません。目的に沿って、体験を邪魔しない形で、最小限で最大の仕事をさせるのが2025年の正解です。
大切なのは、デザインを「好み」や「派手さ」で選ばないこと。ユーザーにしてほしい行動が何かを明確にし、その行動がスムーズに取れる体験を支えるために、見た目を調整する。そうした順序を守るだけで、成果に直結するデザインになります。
まずは大規模な改修を考える前に、
- ヒーロー(ファーストビュー)
- 見出し(メッセージの軸)
- CTA(行動への入口)
- 本文行間(読みやすさの基本)
この4点を整えることから始めてみてください。これだけでも、滞在時間やクリック率といった数字は確実に動きます。
TREVOの現場でも、余白や行間を見直すだけでお問い合わせ数が増えた例があります。派手な投資をしなくても、「目的→体験→表現」の順序で整理することが、成果に直結する一番の近道です。
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