数年前から、「コンテンツマーケティング」という言葉をよく聞くようになりました。しかしながら、どの企業も言葉の定義も曖昧、手法もそれぞれ異なることが多いです。
マーケティングは企業にとって、空気や水のように当たり前になっているので、意識しないとよくわからなくなってしまいます。事業の形態や機能、企業の規模や能力、業界、市場の規模、成長性、競争状況、流通、顧客動向や業界状況などのミクロ環境やマクロ環境によって、実際にできるマーケティングの内容が変わります。そのため、マーケティングの解釈は人それぞれ違います。
では、コンテンツマーケティングの捉え方は人それぞれなのでしょうか。
目次
コンテンツマーケティングの捉え方は人それぞれ?
マーケティングは何ですか?
と聞かれれば、次のような答えが返ってくるかもしれません。マーケティングはカタログを作る
- マーケティングは展示会を担当する
- マーケティングはホームページを作る
- マーケティングはリサーチをする
- マーケティングは広告をする
- マーケティングはセミナーを担当する
- マーケティングは広報をする
- マーケティングはテレマーケティングをする
- マーケティングはメールマガジンを担当する
- マーケティングはSNSをやっている
など、それぞれの作業は、マーケティングの活動の一つであり、間違ってはいませんが、結果を残すマーケティングは、業務が多岐にわたるので、上記のように単純化できません。
昨今の実践的なマーケティングは、これらの組み合わせは必須で、従来のようにDMだけをした場合、レスポンス率はどれくらいでしょうか。一般的に法人向けであれば数%もいかないでしょう。また、テレマーケティングも単純に電話をかけるだけであれば、あまり高い効果は期待できません。
しかし、DMとテレマーケティングを組み合わせ、さらには無償○○や○○限定のキャンペーンなどを組み合わせたら、結果や効果が上がるのは明らかです。つまり、コンテンツマーケティングの捉え方は人それぞれ、マーケティングの解釈も人それぞれということです。
では、マーケティングが必要とされる理由とは何なのでしょうか。
コンテンツマーケティングが必要とされる理由
世界では、マーケティングの歴史をたどってきたわけですが、実は、日本ではマーケティングの活動はあまり積極的ではありませんでした。このことにより、負のスパイラルが生じました。では、その負のスパイラルを明らかにし、マーケティングの必要性を解説します。
マーケティング活動をしなかったことによる負のスパイラル
製品クオリティが高い日本は、「製品中心」の考えを長く引きずりました。特に製造業では、消費者のニーズに耳を傾ける消費者目線のマーケティング活動にスムーズにシフトすることができていませんでした。その結果、プロダクト先行型といわれるスペック重視の情報発信やマーケティング活動がなされ、消費者の購買意欲を後押しすることができていませんでした。またリーマンショックによる経済低迷もこれに大きく作用しています。一方で、海外などから安価で、それなりの品質の製品が流通し、日本の製品は競争力を失ったのです。
安価な海外製品が流通したとき、日本はどのような戦略をとったのでしょうか。
マーケティング機能を持たない多くの企業は、価格、品質を下げて、市場シェアを広げる方向にシフトしました。これは、最も簡単に売上を上げる方法ですが、最終的には、他社製品やサービスとの差別ポイント、付加価値がなくなり、消費者にとっては魅力的なものではなくなります。
売上は上がりますが、利益は下がり、新しい製品開発などへの予算はカットされ、結果的には企業が継続的に経営することが困難な状況に追い込みました。このように、マーケティング活動をしなかったことによる負のスパイラルが起こったのです。では、なぜ、マーケティングが必要なのか、そのマーケティング活動を行うメリットをご紹介します。
マーケティング活動のメリット
① 企業と消費者のギャップを埋める
マーケティング活動では、市場調査、自社、外部環境の分析を通じて、まず自社の現状を把握します。そして、消費者が求めている製品やサービスが何であるのか、消費者の悩みを解決する製品やサービスは何か、ターゲット層の自己実現イメージはどんなものなのか。
消費者のインサイトを掘り下げていくと、このプロセスが、企業と消費者の間に存在するギャップを解消し、企業は、消費者が購買したいという製品の開発、価格設定、販路、販促を提案することが実現できるのです。
② 価格戦略に依存しない市場での優位性の獲得
製品やサービス価値が消費者に「魅力的で、自分にとって価値のあるものであれば、消費者は書かに納得して購入します。高額なブランドなどが売れ続けるのはそういった消費者の納得を得ているからでしょう。マーケティング活動で、製品が消費者に与える価値やどういった自己実現を行うことから発信し、消費者の共感を得ることができれば、ロイヤリティの高い顧客を獲得することができ、価格に依存しない、市場での優位性を獲得できることができます。
③ 改善ポイントが浮き彫りに
製品やサービスを販売しても、売上が伸びず、打ち手もわからない。とりあえず値引きやキャンペーンを実施して、広告を打ってみようといった安易な販売戦略では継続性のある経営は困難になります。マーケティング的視点で、自社、市場、競合、製品の販売戦略を分析すると、ボトルネックという問題点を解明することができ、解決策が可能になります。
④ 潜在顧客が獲得できる
自社の市場におけるポジショニングと市場のギャップを埋める過程で、今まで気づかなかった潜在的な顧客層に気づくことがあるでしょう。
潜在顧客の掘り起こし、獲得、育成、購買ステップの引き上げもマーケティングにおいて重要な活動の一つです。
⑤ コストを削減し効果的に予算を使う
特に、B to Bビジネスでは、マーケティングはコストパフォーマンスを上げる効果があります。B to Bビジネスでは、案件の単価が高額、かつ企業内での決定までのプロセスが複雑であるため、潜在顧客を顕在化させ、成約に至るまでの期間が長期化する傾向にあります。この長いプロセスが営業マンが人力で対応することは不可能でしょう。成約確立の高いターゲットに集中し、潜在顧客へのフォローアップもままならない状況です。
マーケティングは、この潜在顧客へのフォローアップを請け負います。デジタルメディアやマーケティングオートメーションなどのデジタルツールを駆使したマーケティング活動は、24時間365日対応可能な営業マンとなって継続したアプローチが可能となります。
また、デジタルマーケティングでは、定量的に数値が明確に計測できるので、これまで効果測定や利益率などの検証が難しかったマーケティングやポロモーションが実現し、コストを削減し、効果的に予算を使うことができます。
以上がマーケティング活動のメリットです。
コンテンツマーケティングとは、企業と生活者の間にきっかけとなる共通項を作り出すこと
2014年頃から、「日本においてもという言葉が多く聞かれるようになりました。人によって示す内容が異なることが多いコンテンツマーケティング。
コンテンツマーケティングとは何かを理解するために原点にかえり、考えてみましょう。
コンテンツマーケティングとは、見込み客の疑問や関心に対して、関係性が深い適切な情報を提供し、それによって見込み客を引き寄せ、買いたい気持ちを盛り上げ、最終的に購買に導くコミュニケーション戦略です。
定義そのものに目新しさは感じません。では、なぜコンテンツマーケティングが注目されたのでしょうか。
コンテンツマーケティングにおける基本的な情報伝達の仕組みを従来の広告と比較すると、どうやら従来の広告ではない別のコミュニケーションが求められているのではないかということに気がつきました。
このコミュニケーション不全の解決策として、コンテンツマーケティングにおいては、生活者が日々探している情報が何かを理解することでコミュニケーションのきっかけを作り出す。つまり、一方的にメッセージを投げかけるのではなく、「企業が伝えたいこと」と「生活者が知りたいこと」のギャップを「適切なコンテンツ」で埋め、まず両社の関係性を構築することでコミュニケーションを成立させているのです。
ですから、コンテンツマーケティングとは、企業と生活者の間にきっかけとなる共通項を作り出すことだったのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
人によってマーケティングは違います。また、マーケティングの捉え方も人それぞれです。そして、なぜマーケティングは必要なのかの理由とメリットなどについて、ご紹介しました。また、マーケティングの本来の意味は、企業と生活者の間にきっかけとなる共通項を作り出すこともご理解できたと思います。
是非、参考にしてください。
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