近年のデジタル化の進展は目覚ましく、ウェブサイトは企業にとってビジネスを成長させるための重要なツールとなっています。特に、中小企業にとっては、顧客との接点を増やし、新たな市場を開拓するための欠かせない手段です。
2020年の日本のBtoC-ECにおけるEC化率は8.08%で、購買の90%以上がオフラインで行われているというデータがあります(購買の9割は実店舗。オンラインにも貢献するオフライン購買データの活用法)。ウェブサイトはオンライン販売だけでなく、オフラインでの販売促進や認知度向上にも貢献する、まさにビジネスの要といえます。
しかし、資金力のない中小企業にとって、ウェブサイトの運営は容易ではありません。資金・人材・時間・知識など、様々な課題に直面するからです。
本記事では、資金力のない中小企業がウェブサイト運営で直面する課題と、その解決策を探ります。欧米、欧州、日本の事例を交えながら、具体的な方法を提案し、政府や自治体の補助金・支援制度など、ビジネスを成功に導くための情報を網羅的に紹介します。
目次
欧米・欧州・日本の事例
まずは、資金力のない中小企業がウェブサイト運営において、どのような課題に直面し、どんな工夫をしているのか、欧米・欧州・日本それぞれの事例を見ていきましょう。
欧米
米国の現状と課題
- CMS活用による低コスト化
米国では、多くのスモールビジネスがWordPressなどのCMS(コンテンツマネジメントシステム)を利用し、低コストでウェブサイトを構築しています。 - 無料ツールによる認知度向上
Google My Businessなどの無料ツールを活用し、オンラインでの認知度を上げ、顧客との接点を増やす企業が増えています。 - 直面する課題
中小企業の多くは資金調達の難しさやウェブサイトの保守・管理のコストなどに苦労しています。
成功事例 das schöne leben(ドイツ)
- パンデミック時にオンライン広告とGoogleビジネスプロフィールを活用し、オンライン注文を3倍に増やしました。
- 限られた資金でも、デジタルツールを効果的に活用することでビジネスを成長させられる好例です。
Webデザイナーの活躍
- オンラインウェブサイトビルダー(Wix, Squarespace など)の普及により、小規模企業は比較的簡単にウェブサイトを作成できるようになりました。
- 一方で、中規模企業になるとサイト構造が複雑になるため、Webデザイナーの需要は依然として高いです。
- Webデザイナーは企業のビジネスニーズを理解し、それに合わせてウェブサイトを構築することでビジネスを成功に導きます。
デジタル化による融資の進化
- オンラインレンディングやフィンテック企業の台頭により、中小企業は融資を受けやすくなっています。
- 従来の銀行よりも柔軟な審査や短い手続き期間などが、中小企業に大きなメリットをもたらしています。
欧州
- EUによるデジタル化支援プログラム
EUでは、中小企業のデジタル化を支援するために多様なプログラム(後述)を提供し、クラウドサービスやデジタルマーケティングへの投資を後押ししています。 - 規模拡大の難しさとGDPR規制
EUの中小企業は米国や日本と比べて、規模を拡大しづらい傾向があります。また、GDPRなどのデータ保護規制により、広告戦略が制限される場合もあります。
その他の課題
- クラウドサービスの複雑な価格設定
- 上昇する最低賃金と社会保障規制によるフリーランス人材の確保の難しさ
- 検索結果の有料広告増加による広告費の高騰
- 配送や税関手続きの複雑さ
成功のための戦略
- 信頼関係の構築とネットワーク
欧州市場で成功するには、ネットワークイベントや業界カンファレンス、ビジネス協会などを活用し、パートナー・サプライヤー・顧客との関係を築くことが必須です。 - デジタル変革の推進
世界のビジネス環境は急速にデジタルシフトしています。
テクノロジーを活用し、業務効率化・顧客体験向上・競争力維持を目指しましょう。 - 協力とプラットフォームの活用
サプライチェーンレジリエンスプラットフォームなどを活用し、リスクを軽減しながら企業間協力を図ります。
競争圧力が、新しい技術を採用する大きな推進力となっています。
日本
- 補助金制度の活用
日本では政府の補助金制度が充実しており、ウェブサイト構築やIT導入を支援しています(詳細は後述)。 - 多言語対応
日本語と英語の両方に対応したウェブサイトを構築し、海外顧客の取り込みを狙う企業も増加しています。 - 主な課題
- 高齢化による人材不足
- 高額な運営費用
- デジタル化の遅れ
- 海外顧客向けの言語対応
- 独自規格やライセンスの問題などの非関税障壁
新たな機会
- ワークスタイル変革
COVID-19の影響で在宅勤務が急速に普及。
オーストラリア企業などは、日本の中小企業向けに在宅勤務を支援する技術やソリューションを提供するチャンスを得ています。 - 事業継続のための戦略
廃業した企業から経営資源を引き継ぐことで、事業継続と成長を図れます。
後継者不足に悩む中小企業にとっては有効な選択肢になりえます。
資金力のない中小企業がウェブサイト運営で難しいポイント
上記の事例を踏まえ、特に資金力のない中小企業が抱える課題を4つに整理します。
1. 資金不足
- ドメイン取得費用、サーバー費用、ウェブサイト制作費、SEO対策費、広告費など、多岐にわたるコストが発生します。
- EUの中小企業では、クラウドサービスの複雑な価格設定、最低賃金や社会保障規制の高騰、有料広告の増加による広告費の高騰などが深刻化しています。
2. 人材不足
- ウェブサイト制作、SEO、コンテンツ作成、マーケティングなど、専門知識・スキルが求められる業務が多い。
- 日本の場合、高齢化による人材不足が経営全般に重くのしかかっています。
3. 時間不足
- ウェブサイト運営には、コンテンツ更新、SEO対策、アクセス解析、顧客対応など多くのタスクがあり、日々の業務に追われる中小企業には時間が足りません。
4. 知識不足
- SEO対策やアクセス解析、デジタルマーケティングなどの専門知識の不足が、せっかくウェブサイトを立ち上げても効果を最大限に引き出せない原因になっています。
- ツールを扱う知識・経験が乏しく、データを効果的に活用できないケースも多いです。
資金力のない中小企業の工夫
それでも中小企業は、限られたリソースを工夫してウェブサイト運営を成功させようとしています。ここでは、主なコスト削減策・人材育成・時間の効率化・知識習得の4つの観点から詳しく見ていきましょう。
コスト削減
無料ツール・サービスの活用
Google Analyticsなどの無料アクセス解析ツールを利用し、トラフィックやユーザー行動を分析。
SEO対策ツールやサイト構築ツールでも無料プランを提供しているものがあります。
クラウドサービスの利用
AWSやAzureなどのクラウドサービスを利用することで、サーバーやセキュリティ対策の設備投資を抑え、運用コストを削減できます。
アウトソーシング
ウェブサイト制作やSEO対策、コンテンツ作成など、専門性の高い業務を外部に委託することで、内部リソースの不足を補います。
ノーコードプラットフォームの活用
Wix, Squarespaceなど、プログラミング不要でウェブサイトを作成できるサービスがあります。
ドラッグ&ドロップの操作で初期構築が可能なので、コストと時間を大幅に削減できます。
月額制ホームページサービスの活用
「TrevoLite(トレボライト)」のように、初期費用や運用費用を抑えつつ、プロの手による高品質なサイトを利用できるサービスを検討するのも有効です。
- 初期費用 33,000円、月額 3,300円というリーズナブルな料金プラン
- WordPressで構築されたホームページを提供し、デザインやSEO対策もプロが実施
- ドメイン・サーバー管理などの煩雑な作業もすべておまかせ
- スマホ対応(レスポンシブデザイン)もバッチリなので、すぐに安心して公開可能
詳細は TrevoLite公式サイト をご確認ください。
このようなサービスを利用することで、初期費用や維持費を大幅に抑えながら、ビジネスに必要なウェブサイトを手軽に運用できます。
ウェブサイトのバックアップとセキュリティ
定期的なバックアップや強力なパスワードの設定で、セキュリティリスクを軽減。
セキュリティ侵害やデータ損失は、中小企業にとって致命的な打撃になり得るため要注意。
保守・管理費用の事前計画
ドメイン更新料、サーバー費用、セキュリティ対策費用など、継続的なコストを予め見込んでおくことで資金計画がスムーズになります。
人材育成
従業員のスキルアップ
オンライン学習プラットフォームやセミナーを活用し、社内のデジタルスキルを底上げします。
インターンシップの活用
学生などの若い人材に、ウェブサイト運営をサポートしてもらうことでリソースを補完できます。
学生側にとっても実務経験が積めるため、企業とウィンウィンの関係が築けます。
時間の効率化
業務の自動化
WordPressなどのプラグインで定期更新やSEO対策を自動化し、人的リソースを節約。
タスク管理ツールの活用
TrelloやAsanaなどで業務を可視化し、チーム内で進捗状況を共有します。
分析と委任
アクセス解析データや売上データなどを分析し、時間のかかる業務を外部委託または社内の専門担当者に任せることで、経営者が本来集中すべき業務に注力できます。
知識の習得
オンライン学習
CourseraやUdemyなどで、ウェブサイト制作、SEO、デジタルマーケティングの学習が可能。
書籍・ウェブサイト
ウェブサイト運営のノウハウ本や専門ブログを参考に、基本から最新動向まで学習できます。
セミナー・勉強会
業界の専門家や他社の担当者と交流できる機会を活用し、情報やノウハウを交換します。
政府機関や支援団体の支援
各国政府や支援団体は、中小企業がウェブサイト運営やIT導入を進められるよう、多種多様なプログラムを提供しています。
米国
- 米国中小企業庁(SBA)
中小企業向けの資金調達・経営相談・研修などを支援。ウェブサイト構築に関する情報やリソースも提供。 - Grants.gov
政府が提供する補助金情報を網羅的に検索可能。
欧州
- EU4Businessイニシアチブ
資金調達やビジネス開発サービス、ビジネス環境改善などを支援。 - 欧州企業ネットワーク(EEN)
国際化・技術革新・パートナーシップ構築などをサポート。 - EASME
中小企業がデジタルイノベーションをテスト・実装する際の資金援助。 - COSME
事業立ち上げから拡大までの資金調達支援プログラム。 - EaSI
最大25,000ユーロの融資枠があり、中小企業の設立や発展を支援。
日本
日本の政府機関による支援
- 中小企業庁
補助金・融資・経営相談など幅広いサポートを行い、ウェブサイト構築に関するセミナーも開催。 - 日本貿易振興機構(JETRO)
外国企業の日本進出支援を主に行うが、ウェブサイト構築に関する情報提供や相談サービスも。 - 金融庁(FSA)
海外金融会社の日本進出支援や、スタートアップ企業向け支援プログラムを展開。
地方自治体による補助金・優遇制度
- IT関連補助金
IT導入による生産性向上を目的とし、プロジェクト費用の50~66%を補助
https://www.it-hojo.jp/ - 事業革新補助金
新製品やサービス開発、販路開拓などを支援。中小企業は最大1,000万円、大企業は最大2,000万円を補助
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/ - 持続化補助金
経営計画に基づき、持続的な事業展開を支援。小規模事業者は最大50万円、中小企業は最大100万円を補助
https://r3.jizokukahojokin.info/
資金力のない中小企業がウェブサイト運営を成功させるための具体的な方法
ここまでで紹介した課題や解決策を踏まえ、限られたリソースでウェブサイト運営を成功させるための具体的な方法を整理します。
明確な目標設定
ウェブサイトの目的(販売促進、顧客獲得、ブランド認知など)や、ターゲット顧客、達成したいKPIを明確にする。
ターゲットに合わせたウェブサイト構築
年齢・性別・職業・興味関心などを分析し、ユーザー体験の良いサイト設計を心がける。
SEO対策
適切なキーワード選定、コンテンツの最適化、被リンク獲得など、検索エンジンの上位表示を狙う。
コンテンツマーケティング
ブログ記事、動画、インフォグラフィックなど、多様な形式のコンテンツを作成。
顧客に価値を提供する内容を発信し、エンゲージメントを高める。
SNSの活用
Facebook、Twitter(X)、Instagramなどでコンテンツを拡散し、フォロワーを増やす。
ユーザーとの交流も密に行い、ブランドロイヤルティを育む。
アクセス解析
Google Analyticsなどを用いて、アクセス状況・ユーザー行動・コンバージョン率をチェック。
データを分析し、改善策を実施することで、効果的なPDCAサイクルを回す。
モバイルフレンドリー
レスポンシブデザインを採用し、PC・スマートフォン・タブレットなど、どのデバイスからでも快適に閲覧できるようにする。
セキュリティ対策
SSL/TLS証明書の導入、ファイアウォール設定、セキュリティソフトの導入などを行い、顧客情報を保護。
Googleビジネスプロフィールへの登録
ローカルビジネス(飲食店や小売店など)は特に、Googleマップや検索結果での表示を最適化し、集客効果を高める。
まとめ
資金力のない中小企業にとって、ウェブサイト運営は多くのハードルがあります。しかし、以下のポイントを押さえることで、限られたリソースでも大きな成果を得ることが可能です。
- 無料ツールやノーコードサービスでコスト削減
- アウトソーシングやインターン活用で人材不足を補う
- タスク管理ツールや自動化で時間を有効活用
- オンライン学習やセミナーで知識を習得
- 政府や自治体の補助金・支援制度をフル活用
ウェブサイトは一度作って終わりではなく、継続的な運用が必要です。常に最新の情報や技術を取り入れ、改善を積み重ねていくことで、顧客満足度を高め、ビジネスの成長につなげることができます。
資金力の面で厳しい中小企業ほど、このような地道な工夫やサポート制度の活用、そして着実な運営が大きな差を生むでしょう。ぜひ本記事を参考に、自社のウェブサイト運営における戦略を立て、ビジネスをさらに発展させてください。
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板浪雅樹

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